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自治体からの許認可等に関する行政指導には、必ず従わなければならないのですか。
岩下 芳乃| 2018年 7月号掲載
自治体から許認可を受けて事業を行っていますが、その許認可に関連して自治体から行政指導として様々な指示を受けています。これらの指導には必ず従わなければならないのでしょうか。
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- 行政指導とは、行政手続法上「行政機関がその任務又は所管事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう」とされ、指導を受ける側の任意の対応を前提としていますので、原則として行政指導に従わなければならない法的義務はありません。
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- しかし、法制度のなかには、行政目的を効率的に達成するために、行政指導を制度の一部に組み込むことがあります。例えば、社会福祉法56条によれば、社会福祉法人に法令違反の事実が認められる場合には、まず行政指導として改善のために必要な措置が勧告され、自発的な対応を促されます。社会福祉法人が勧告に従わない場合には、従わない旨が公表されるとともに、行政処分としての措置命令が発動されます。さらに措置命令にも従わない場合には、業務停止命令が発動されてします。つまり、「行政指導だから従わなくても良い」と簡単に考えて従わずにいると、事業活動自体行えなくなる可能性すらあるのです。行政指導を受けた場合には、それがどのような根拠(法律など)に基づいて行われており、その行政指導の先にある処分にどのようなものが想定されているのか十分に確認し、慎重に対応する必要があります。
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- 行政指導を行う場合、自治体側は指導の趣旨や内容等について明確に相手方に示さなければなりません(熊本県の場合には熊本県行政手続条例33条1項が適用されます。)。また、平成27年4月から、本件のような許認可に関する行政指導を行う場合に、自治体は、許認可等をする権限又は許認可等に基づく処分をする権限を行使し得る旨を示すときには、権限を行使し得る根拠及び要件並びにその権限を行使し得る理由も併せて示さなければならないとされ(同条2項)、行政指導を受ける側が行政指導の根拠等について明確に把握できるようになりました。
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- 行政指導に不服がある場合には、一定の場合に行政指導の中止等を求めることができます。また、一般に行政指導は「処分」には当たらないため、裁判で争うことができないのですが、行政指導の中には、実質的には「処分」にあたるとして裁判で争うことができるものもあります。
行政指導に従う法的義務はありませんが、制度によっては行政指導に従わないことで不利益処分がなされることもあるので、注意が必要です。