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契約トラブルの対処法
契約が履行されない場合、下記の対処法が想定されます。
交渉する
対処の第1歩は言うまでもなく交渉です。交渉のツールとしてよく用いられるのは内容証明郵便での請求です。
内容証明郵便は、文書の内容と到達日付が公的に証明できることから裁判の証拠として有用ですが、それ以上に、こちらの主張を強力かつ明確に伝え、相手方にプレッシャーをかけるという重要な機能を持ちます。
内容証明郵便は自社で出すこともできますが、弁護士名での内容証明郵便の方がはるかに効果的です。
弁護士は内容証明郵便を送る段階で既に将来の裁判のための法律構成をしており、もし相手方が内容証明郵便での請求に応じないときには裁判によって請求を実現することを前提としています。そこで、弁護士名での内容証明を送ることにより、相手方に対して「これに応じなければ裁判を起こされる」というより強いプレッシャーを与えることができるのです。
請求に引き続いて相手方と交渉する場合も同じです。会社が請求してもまったく反応しなかった相手方が、弁護士名での内容証明郵便を受けて(しぶしぶ)交渉に応じるケースを私たちは数多く経験しています。これも交渉に応じなければ裁判を起こされるというプレッシャーが相手にかかった結果です。
契約を解除する
相手方が契約を履行しない場合、その契約を白紙に戻す必要がある場合があります。例えば、製品を売ったのに相手方が代金を支払わないという場合、売買契約を解除して引き渡した製品を返してもらわなければなりません。
法律上、解除するためには、原則として相当の期間を定めて債務の履行を催促すること(催告)が必要です。「相当の期間」がどの程度かについては個別の事案ごとに判断する必要があります。また、後日の裁判で催告の事実を証明するため、この催告も内容証明郵便でするべきです。
損害賠償請求をする
実際の取引では、契約を解除して白紙に戻したとしても、さらに損害が発生することが少なくありません。前例でたとえ売った製品を返してもらったとしても、その製品はもはや新品として他に販売することは難しいでしょうし、その他にも契約費用等の損害も発生するのが通常です。さらに、そもそも製品を返してもらえない、あるいは返してもらっても意味がないというケースもあります
。
この場合は相手方に対して、発生した損害の賠償を請求することになります。ここでよく問題が生じるのは損害額の把握の仕方です。相手方の契約不履行によって発生した損害を過不足なく請求すること、その前提として損害額を証明する資料をきちんと揃えることが必要です。
訴訟を提起する
できるだけ話し合いで解決したいと思うのはどの会社でも同じですが、相手方や事案によってはどうしても話し合いによる解決ができないケースがあります。このような場合、訴訟を提起して裁判所での解決を図ることになります。
訴訟の勝敗は証拠によって決まります。何を証拠として提出するか、いつ提出するか、誰に何をどのように証言してもらうか…弁護士の腕の見せどころです。
判決をとることだけが能ではありません。訴訟には判決のほか、和解という話し合いによる解決方法もあります。勝訴が見込まれる訴訟であっても、判決ではなく話し合いによって円満に解決した方が利益になる場合もあります。逆に敗訴の危険がある場合には、できるだけ有利な条件で和解してリスク回避する必要があるのです。
強制執行する
訴訟で勝訴判決をとっても、相手方が判決にしたがって素直に債務を履行してくれるとは限りません。この場合は、勝訴判決に基づいて、相手方の財産を差押え、これを換価する方法(強制執行)によって債権の回収を図ることになります。
ここで注意しなければならないことは、判決に基づく強制執行といっても、裁判所が相手方(債務者)の財産を探してきて差し押さえてくれるわけではなく、強制執行の申立をした債権者の方で、裁判所に対し、差し押さえるべき相手方の財産を明らかにしなければならないということです。
このためには、相手方の財産関係を調査し、差押えが可能な財産を特定する必要があります。もし相手方に差押え可能な財産がない場合には、勝訴判決は結局「画に描いた餅」になってしまいます。このように考えると、訴訟の前に、強制執行が可能かどうかを十分に検討しておかなければならないと言えます。