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個人再生
個人再生とは
個人再生には小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類がありますが、いずれも原則として3年で利息制限法引き直し後の債務総額の5分の1又は100万円のいずれか多い額を支払うことにより残りの支払い義務を免除するという手続です。
住宅資金特別条項を利用することにより、住宅ローンの支払いを続けつつ(つまり、マイホームを維持しつつ)、それ以外の借金を大幅に減額することも可能です。
この手続を利用するには裁判所への申立てが必要であり、申立てに当たっても厳格な要件があります。また、予納金の納付や再生計画案の認可、試験的積立などの負担があります。
個人再生の流れ
受任通知・開示請求
弁護士が各債権者に対し依頼者から債務整理を受任した旨通知し、併せて取引履歴の開示を請求します。
取引履歴取得・引き直し計算
債権者から開示された取引履歴に従い利息制限法に従った引き直し計算を行います。これにより、返済すべき残債務の額及び過払い金がある場合その額が判明します。
手続選択
個人再生手続を行うということで方針決定します。(※)
またこのとき、小規模個人再生と給与所得者等再生のいずれを利用するかも決定します。
個人再生手続開始の申立て
申立て書類を作成し、裁判所に個人再生手続き開始の申立てを行います。
申立ての準備に当たっては、依頼者の方には添付資料を集めるなどしていただく必要があります。
再生手続開始の決定
再生手続開始の要件が満たされていることが確認されると、裁判所が個人再生手続の開始決定をします。決定に先立ち、債務者の審尋が行われます。
再生計画案の作成・提出
最低弁済額や分割方法、支払方法などについて決定し、再生計画案を作成します。小規模個人再生の場合、作成された再生計画案について書面投票による決議が行われます。
再生計画案の認可決定、確定
再生計画案に不認可自由がなければ、裁判所はかかる再生計画案について認可決定をします。認可不認可の決定は官報で公告されますが、公告の翌日から2週間で決定は確定します。
返済を開始
確定日を基準として、債務者の方は返済を開始します。
個人再生のメリット
大幅な元本カットが可能
任意整理が分割払いの場合、債務の減額が引き直し計算後の元本程度にとどまっていたのに比べ、個人再生については負債総額の5分の1又は100万円の大きい方と、大幅な債務の減額が可能です。
債権者の個別の同意が不要
債権者が多数いる場合、任意整理に協力的でない債権者がおり、支払計画の策定等に当たり悪影響を及ぼす場合もあります。しかし、個人再生における再生計画案の認可にあたり、給与所得者等再生の場合はそもそも同意が不要ですし、小規模個人再生においても一定の場合には同意が不要となります。そのため、返済計画をより容易に立てることができます。
財産清算の必要なし
破産の場合、所有する一定額以上の財産がある場合それらを処分し、債権者に対する返済に充てなければなりません。他方、個人再生の場合、基本的には現在使っている財産を生産する必要はありません。
住宅資金特別条項によって住宅の保持も可能
破産では、苦労して建てた住宅も財産であり、手放さなければなりませんが、個人再生において住宅資金特別条項を使用すれば、住宅を手放さずに手続を進めることができます。
開始決定によって強制執行等の手続は中止される
給料差押え等の強制執行を受けている場合、かかる債権者との間で和解に向けた交渉を行うことは困難であり、任意整理を進めていくことは非常に難しいといえます。他方個人再生の場合、再生開始決定前であれば強制執行中止の申立てができますし、中止決定を受けなくても、再生手続開始決定により当然に強制執行は中止します。
破産免責不許可事由があっても申立可能
浪費やギャンブル等で借金を重ねていた場合、破産においては免責を受けられない事由に該当してしまうおそれがあることから、申立をすることはできません。他方、個人再生はそのような免責不許可事由がなく、7年以内にすでに破産免責を受けている場合であっても、申立てをすることができる。
資格制限がない
破産の場合、市役所で取得する身分証明書に影響が出る可能性や法律上の職業制限がかかることがあります。個人再生にはこのような制限はありません。
個人再生のデメリット
手続が煩雑である
あくまでも債権者との合意で債務を減額してもらう手続ですから、債権者の協力が得られない場合、手続は頓挫してしまうおそれがあります。
高額な予納金の負担
分割払いの場合、引き直し計算後の元本について更なる減額はほとんど行われていないのが現状であり、個人再生に比べると債務の圧縮率が低いです。
再生債権に上限がある
個人再生の場合、再生債権の総額が5000万円を超えないことが手続開始の要件になっています。
保証人には手続の効力が及ばない
再生計画に基づき債務が減額されても、保証人や連帯保証人等に対しては影響がなく、これらの人はもともとの債務の額について責任を負うことになります。
勤務先、友人、親族から借入があると申立てを知られてしまう
これらの人から借入があると、すべて債権者として扱わなければならず、これらの人には裁判所から債権者一覧表に記載された事項が通知されますから、必然的に個人再生の申立ての事実を知られることになります。
官報に住所・氏名が記載される
官報に住所・氏名が記載されるため、これらの情報は公に明らかになります。
いわゆるブラックリストに載る
他の債務整理手続と同様、事故情報として登録されます(ブラックリストに載る)。